POM(ジュラコン®)加工とは?特徴・加工方法・加工事例をわかりやすく解説
POM(ジュラコン®)機械部品や工業製品に幅広く使用されているエンジニアリングプラスチックの一つです。
耐摩耗性や摺動性に優れ、寸法安定性も高いことから、金属部品の代替素材として「POM 加工」「ジュラコン® 加工」を検討されるケースが増えています。
本記事では、POM(ジュラコン®)の基本的な特徴から加工方法、加工時の注意点、そして実際の加工事例までをわかりやすくご紹介します。POM加工をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
POM(ジュラコン®)とは?
POM(ポリアセタール)は、機械部品や工業製品に幅広く使用されているエンジニアリングプラスチックの一種です。
高い機械的強度と耐摩耗性を持ち、寸法安定性にも優れていることから、金属部品の代替素材として選ばれるケースも多く見られます。
「ジュラコン」は、このPOMを代表する商標名の一つであり、実際の素材としてはPOMと同じ特性を持っています。
そのため、現場では「POM加工」「ジュラコン加工」といった呼び方が混在して使われていますが、いずれもポリアセタール樹脂の加工を指しています。
POM(ジュラコン®)加工の特徴
POM(ジュラコン)は、機械部品や装置部品など、精度と耐久性が求められる分野で多く採用されている樹脂素材です。その背景には、金属代替としてのメリットや、摺動部品・精密部品に適した特性があります。
ここではPOMが加工材料として評価されている理由について解説します。
◇金属代替としてのメリット
POM(ジュラコン)は、金属と比較して軽量でありながら、機械的強度に優れているため、金属部品の代替素材として活用されることがあります。
- ■軽量化が可能
金属に比べて比重が小さく、部品の軽量化が図れます。装置全体の負荷軽減や、可動部の動作性向上につながるケースもあります。 - ■加工性に優れている
切削加工との相性が良く、複雑な形状や細かな寸法指定にも対応しやすい素材です。加工時間の短縮や、安定した品質確保が期待できます。 - ■耐食性が高い
金属のように錆が発生しないため、使用環境によってはメンテナンス性の向上にもつながります。
◇摺動部品・精密部品に向いている理由
POM(ジュラコン)が摺動部品や精密部品に多く使われるのは、摩擦や寸法安定性に関する特性が優れているためです。
- ■摩擦係数が低く、摺動性に優れる
動きのある部品同士が接触する箇所でも、摩耗や焼き付きが起こりにくく、安定した動作を維持しやすい素材です。 - ■寸法安定性が高い
成形後や加工後の寸法変化が少なく、精度が求められる部品にも適しています。 - ■繰り返し使用に強い
長期間の使用でも性能が安定しやすく、耐久性が求められる部品に向いています。
◇他樹脂(ナイロン)との比較
POM加工を検討する際には、ナイロンなど他の樹脂素材と比較されることも少なくありません。
以下は、POMとナイロンを比較する際によく挙げられるポイントです。
- ■摩耗特性
POMは耐摩耗性に優れており、摺動部品や動作回数の多い部品に適しています。ナイロンも強度はありますが、用途によっては摩耗の差が出ることがあります。 - ■精度面
POMは寸法安定性が高く、加工後の形状や精度を維持しやすい素材です。精密部品や公差の厳しい製品では、POM加工が選ばれるケースが多く見られます。 ■水分の影響
ナイロンは吸水性があり、使用環境によって寸法変化が生じる場合があります。一方、POMは吸水率が低く、湿度や水分による影響を受けにくいため、安定した使用が可能です。
POM(ジュラコン®)の主な加工方法
POM(ジュラコン)は、用途や数量に応じてさまざまな加工方法が選択されます。
なかでも多く採用されているのが、切削加工を中心とした加工方法です。
切削加工(旋盤・フライス加工)
POMは切削性に優れた樹脂素材であり、旋盤加工やフライス加工によって高精度な部品製作が可能です。
金属と比べて工具への負担が少なく、バリや欠けが発生しにくいため、寸法精度と仕上がりの安定性を両立できます。
マシニング加工による精密加工
複雑な形状や細かな加工が必要な場合には、マシニング加工が用いられます。
NC制御による加工により、穴加工や溝加工などを高い再現性で行うことができ、試作から量産まで幅広く対応できます。
成形加工と切削加工の使い分け
大量生産では射出成形が選ばれることもありますが、少量生産や形状変更が頻繁に発生する場合には、切削加工が適しています。
設計段階や数量条件によって、最適な加工方法を選定することが重要です。
POM(ジュラコン®)加工時の注意点
POM(ジュラコン)は多くのメリットを持つ樹脂素材ですが、加工・使用にあたってはいくつか注意点があります。
設計段階でこれらを把握しておくことで、トラブルを防ぐことができます。
◇接着が難しい素材である点
POM(ジュラコン)は表面が滑らかで潤滑性が高く、一般的な接着剤では十分な接着強度を得にくい素材です。
■接着剤が密着しにくく、剥がれやすい
■振動や荷重が加わると剥離が起こる可能性がある
そのため、POM加工品では接着ではなく、ネジ止めや圧入などの機械的な固定方法を前提とした設計が適しています。
◇紫外線による影響
POM(ジュラコン)は、屋外など紫外線を受け続ける環境では注意が必要です。
- ■長期間の使用で変色が起こる場合がある
- ■使用条件によっては物性が低下する可能性がある 屋外用途や紫外線の影響が懸念される場合は、使用環境を考慮した素材選定が重要です。
金属加工エクスプレス.JPのPOM(ジュラコン®)加工事例
ここからは、実際に金属加工エクスプレスで対応したPOM(ジュラコン)加工の事例をご紹介します。
具体的な製品例を見ることで、POM加工がどのような場面で活用されているのか、よりイメージしやすくなります。
事例①:シンク保護カバー

今回ご紹介させていただきます加工品事例は、樹脂(ジュラコン)による『L字アングル』です。
お客様より『夏期、屋外に設置した見学者用流し台において、炎天下により熱せられた金属に触れることによるヤケドを防止したい。』との要望から設計・製作となりました。
要求仕様として、①液体(水)に強いこと ②熱に強いこと ③対象者がお子様が多いことから、簡単に剥離されないこと、等が求められました。
テフロンシートをR面に倣い貼り付ける方法も検討されましたが...
POM(ジュラコン®)加工でお困りの際は、
金属加工エクスプレス.JPまで!
POM(ジュラコン)は、耐摩耗性・寸法安定性・加工性に優れた樹脂素材であり、精密部品や機械部品に多く採用されています。
加工方法や使用環境を正しく理解することで、その特性を最大限に活かすことが可能です。
金属加工エクスプレス.JPでは、POM加工を含む各種樹脂加工にも対応しています。POM(ジュラコン)加工をご検討の際は、お気軽にご相談ください。