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技術情報

ショットブラスト加工とは?効果やサンドブラストとの違い、加工事例までを徹底解説!

金属加工の現場で欠かせない技術の一つに「ショットブラスト」があります。
この加工方法が、なぜ多くの製品の品質向上に貢献しているのか、今回はその基本原理から具体的な加工事例までを詳しく解説します。

ショットブラスト加工とは?

ショットブラストとは、金属をはじめとする加工物の表面に「ショット」や「グリット」と呼ばれる細かい鋼製の投射材を高速で吹き付け、表面を加工する方法です。
高速回転する羽根車(=インペラ)の遠心力を利用して投射材を飛ばし、加工物の表面に微細な凹凸をつけたり、付着物を除去したりします。
この加工により、後工程の塗装密着性を高めたり、製品の耐久性を向上させたりと、様々な目的で活用されています。

サンドブラストとの違い

ショットブラストとよく混同されがちな加工に「サンドブラスト」があります。
両者は投射材を吹き付ける点は同じですが、その動力源と得意な加工領域に大きな違いがあります。

項目

ショットブラスト

サンドブラスト

動力源

インペラの遠心力

圧縮空気

加工能力

広範囲、大量生産向き

比較的局所的、手作業・複雑形状向き

得意な加工

橋梁、鉄骨、大型の鋳造品など

小さな部品、ガラス彫刻、部分的なサビ取り

投射材

ショットやグリットが主

砂、ガラスビーズ、アルミナなどさまざま

 

ショットブラストの主な4つの効果

ショットブラストは、加工物の表面に高速で投射材を吹き付けることで、さまざまな有益な効果をもたらします。

効果① 塗装の密着性向上でサビが進行しにくくなる

加工物の表面に微細な凹凸を作り出すことで、塗料や接着剤が深く入り込み、密着度を大幅に高めます。
これにより、塗装の剥がれや色落ちを防ぎ、製品を長持ちさせ、塗り直しのコスト削減にも繋がります。

効果② 汚れが除去され美観が向上する

加工前の鋼材に付着しているミルスケール(=鉄の酸化物)や、その他の錆、汚れ、古い塗料などを効率的に除去し、表面をきれいに整えます。
これにより、製品の腐食を防ぎ、見た目を美しくする効果があります。

効果③ 耐久性・強度を強める(ショットピーニング)

細かい投射材を高速で打ち付けることで「加工硬化」という現象が起こり、製品の表面が硬く丈夫になります。この結果、摩耗や破損に強くなり、部品の寿命を延ばすことにも繋がり、コスト削減に寄与します。
この強度向上を目的とした加工は特に「ショットピーニング」と呼ばれ、
航空機部品や自動車のギアといった高い耐久性が求められる部品に不可欠な技術です。

効果④ バリ取りや滑り止め

鋳造や切削加工の際に発生する不要な突起(=バリ)を除去したり、表面の摩擦係数を高めて滑り止め効果を持たせたりする目的でも使用されます。

ショットブラストの加工方式と装置の種類

ショットブラストの加工は、大きく「手動」と「自動」に分けられ、主流である「自動」の中にも様々な種類の装置が存在します。
製品の形状、サイズ、生産量によって最適な方式と装置を選ぶことが、品質とコストを両立させる鍵となります。

加工方式


■手動ショットブラスト


圧縮空気を動力とするノズルを作業者が手で持ち、製品に直接投射材を吹き付ける方式です。
一般的に「サンドブラスト」で用いられる方法ですが、ショットブラスト用の投射材を使うこともあります。

 



■自動ショットブラスト


インペラの遠心力を利用して投射材を自動で投射する方式です。
装置内に製品をセットすれば、機械が自動で加工を行うため、品質が安定し大量生産に適しています。
一般的に「ショットブラスト」という場合は、この自動加工を指します。

 


自動加工装置の種類

① テーブル式ショットブラスト

回転するターンテーブルの上に製品を載せて加工する、最も一般的な装置です。

メリット
平物や重量物、鉢物など、比較的形状が安定している製品の加工に適しています。
・製品をテーブルに載せるだけなので、段取りが比較的簡単です。

デメリット
一度に片面しか加工できないため、全面を処理するには製品を裏返す手間が必要です。
・製品同士が隣接していると、影になる部分に投射材が当たりにくい場合があります。

② エプロン式ショットブラスト

ベルトコンベア状のエプロンで製品を投入し、中でタンブリングさせながら全体を加工する装置です。

メリット
ボルト、ナット、小物鋳物といった小さな部品を一度に大量処理するのに最適です。
・量産品の加工における、単位あたりのコストパフォーマンスが非常に高いです。

デメリット
製品同士がぶつかり合いながら加工されるため、打痕や傷に配慮が必要な製品、変形しやすい薄物には不向きです。

③ ハンガー式ショットブラスト

製品をハンガーに吊り下げ、自転・公転させながら加工する装置です。

メリット
・複雑な形状の製品でも、吊り下げることで全体にムラなく投射材を当てることができます。
製品同士が接触しないため、打痕や傷に配慮が必要な製品に最適です。

デメリット
製品を一つひとつハンガーに掛けたり外したりする手間がかかります。
・装置自体が比較的大型になる傾向があります。

④ ローラーコンベア式ショットブラスト

装置の入口から出口までローラーコンベアが貫通しており、その上を通過する製品を連続的に加工します。

メリット
H形鋼、鋼板、パイプといった長尺物や板材の連続処理に適しています。
・ラインに組み込むことで、高い生産性を実現できます。

デメリット
長尺物や板材に特化しているため、複雑な形状の単品加工には向いていません。
・装置が大規模になり、広い設置スペースが必要です。

金属加工エクスプレス.JPの加工事例のご紹介

【加工事例1】SUS304製 治具部品(マシニング+ショットブラスト)

こちらは、SUS304(ステンレス)材に対して、マシニングによる切削加工を行った後、ショットブラストで仕上げた治具部品の加工事例です。

 加工方法:マシニング切削加工・ショットブラスト加工

 サイズ:200X150Xt12

 精度:±0.01

 材質:SUS304

 使用用途:光学検査治具

ポイント: マシニング加工で要求される寸法精度を実現しつつ、ショットブラストによって表面に均一な梨地(=マット)仕上げを施しています。これにより、ステンレス製品の外観向上はもちろん、検査治具などでは光の反射を抑える効果も期待できます。
当社では、このような複数の加工工程を組み合わせた一貫対応を得意としております。

>>この「SUS304 ショットブラスト加工」事例の詳細はこちら 

まとめ

この記事では、ショットブラストの概要から、サンドブラストとの違い、具体的な効果、投射材や装置の種類、そして加工事例についてご紹介しました。

ショットブラストは、単にサビや汚れを落とすだけでなく、塗装の寿命を延ばし、製品の強度を高め、美しい外観を与えるなど、多くの利点を持つ重要な表面加工技術です。
製品の目的や材質に合わせて適切な加工方法や投射材を選ぶことで、その品質と機能を大きく向上させることができます。

>>お問い合わせはこちら

ショットブラストの加工でお困りの際は、金属加工エクスプレス.JPまで!

金属加工エクスプレス.JPは金属加工のスペシャリストです。切削加工、プレス加工、板金加工など様々な加工が可能です。
金属加工でお困りの際は、まずは金属加工エクスプレス.JPにお気軽にお問い合わせください。

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監修者情報

金属加工エクスプレス.JP小松
金属加工エクスプレス.JP小松

入社以来一貫して金属加工に関わる業務を担当し、高精度な金属加工技術は勿論、難加工材の加工に精通しており、様々な依頼に短納期対応が可能。

金属加工に関するお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。長年の経験と確かな技術で、お客様のニーズにお応えします。

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